プロジェクトの発注工程を総合的に理解できる道場。
16.11.10
参加者インタビュー | 002
広瀬圭子さん

学び続けるという意志

ーーー 簡単に経歴の紹介をお願いします

私は元々デジタルハリウッドの職員でした。その前は外資系の金融機関に勤めており、投資銀行、インベストメントバンカーの仕事していました。バブルの時代に金融の真ん中に居たという感じでしょうか。
バブルが崩壊した頃、「自分は一生この仕事をするのか?」という疑問が湧きました。その頃ちょうどコンピュータグラフィックスが台頭してきていた時期で、デジタルハリウッドが設立されたことがきっかけとなり、転職を決意しました。現在はコンテンツ制作プロデューサーとして自分の会社を経営しています。

デジタルハリウッド入社後、アメリカに駐在しました。アメリカには生涯学習という考え方が根付いており、大学、大学院を出たら終わりではなく、社会の情勢や新しい世界の動きに連動して自らも学び続けるべき、という考え方が浸透しています。私もUCLAエクステンションやサンタモニカカレッジの「社会人向け講座」でデザイン、写真、デジタル作曲、などを勉強しました。
帰国後、デジタルハリウッドの杉山学長から「大学院が出来たから見にこない?」と誘っていただきました。見学して話を聞き、これまでの学習の統括として入学を決意した、という経緯です。

本年度は、ベンチャーの起業にフォーカスして実際に事業計画を書く実践的な松本先生のビジネスロジックラボに参加しながら、卒業課題制作を進めています。

実作業に困った

ーーー 今回プロトタイピング道場に応募したきっかけなどはありますか?

私の現在の仕事はコンテンツの制作プロデューサーです。プログラマー、デザイナー、カメラマン、編集、ナレーターや音効といった専門家とチームを組んでプロジェクトを進めます。今回の卒業課題制作を作るにあたり、困ったのが実際の作業行程でした。コンセプト作りは良いとして、作業を全く1人で行う状況は辛いなあと。

「デザイナーさんに頼めばもっとカッコイイのに」
「プログラマーさんに頼めばもっと早いのに」
と考えていたところ、デジタルハリウッドから道場の話があり「渡りに船」(笑)と思いました。

卒業課題制作は第一の目的ですが、事業として実現できるかが評価の一つですからその後の事業化ももちろん考えています。
プロトタイピング道場で作ったデモは、クライアントに見てもらう中で、機能の変更や事業計画も刷新していくことになります。

リフォームがきっかけだった

ーーー プロトタイピング道場で実際に作ったプロダクトについて教えてください

個人的な経験ですが、家のリフォーム時にトイレやエアコンをネットショッピングをしていた時です。ものは安く買えても、工事してくれる業者はオプションでした。そこで、地元の水道屋さんに連絡したところ、「工事はうちから購入した人だけです」と言われました。これだけネットショッピングが盛んでも、工事業者は紐付いていない、ということに驚きましたね。

結局、ネットショップの有料オプションで取付け依頼をしたところ、なんと片道5時間先の町から工事業者が来ました。「県内の工事は全て引き受ける決まりなので」と聞いてさらに驚き、この状況はなんとかできないだろうか、と思ったのがきっかけで、今回のデモサイトの構想が浮かびました。

最初はBtoC的な検索サービスを考えていたのですが、日本の現状は大工さんがプロデューサーの役割になっていることなども考慮して色々と揉んだ後、BtoBのプロトタイプに変更しました。

使う人間と作る人間の差を知る

ーーー 今回プロトタイピング道場に参加した学びとしてはいかがでしたか?

いろいろと勉強になりました。私の考えるWebサイトは、「インフォメーションサイト」が中心でした。企業の情報が載っていて、情報収集をしてお問合わせを送って終わり。今回のWebサービスはもっとインタラクティブで、ログイン認証、データベースの構築を前提とする発注方法を学べたことは大きな収穫でした。

Webサービスはある程度まで作っておかないと感覚的に分からないため、説明が難しく、ましてやスマホを持っていない人に対するサービスをプログラマーへ指示するために、何層もの翻訳が入る感じですね。

使う人間と作る人間の差が広がっています。今回のWebサイトは、使う人間が自分で登録する必要があります。
「登録するのめんどうだから登録しない」「使い勝手が悪いのでやめた」
ということがないようにUIやUXの改善は必須と考えています。

作ったものを広めていくということ

ーーー これからの目標、展望を教えてください

最初に1人2人にデモ的に登録してもらった後の次のステップが難しいと思っています。100人、200人と広げるために交流会セミナーをしてはどうか、という意見も出ています。

予算の獲得も、現実的な問題です。伝統的な獲得方法に加えてクラウドファンディングもありかな、と考えています。

1〜2年後に、事業者のサイト下で数100人が使ってくれている状況が目標です。使うというよりは毎日チェックするというようなイメージかもしれません。その後は使う人が増えて、全国に広がっていくといいなと思っています。